14 Dec ナタリーの朝 Me Natalie 爽やかな自分探しの青春映画
主演のパティ・デュークは何と言っても「奇跡の人」のヘレン・ケラーが超有名ですが、ティーンエイジャーになって作られた映画です。監督は、「奇跡・・」のプロデューサーのフレッド・コーなので、デュークとある種の絆があるんでしょうね。昔使った子役が成長すると、それに見合った役柄を用意してやるような。
デュークの役は、ニューヨークのブルックリンに住むナタリー。醜いブスというのではないですが、そこらにゴロゴロ居るような、ボーイフレンドをゲットするにも苦労するだろうなという容貌の冴えない女の子。このナタリーのいいところは、だからと言って、ひきこもりなんかになってウジウジはしません。すべてに積極的なんですね。愛情がいっぱい溢れてはいるものの過保護気味な両親から離れて、グリニッジ・ビレッジで1人生活をするところから、いきいきとナタリーの日常が描かれます。最大の課題だったボーイフレンドも、他州からのイケメンの画家志望をゲット。ところがこの男は、妻子持ちだったんです。男は、「妻も愛しているがナタリーも愛している」なんて都合のいいセリフを言うんですね。
ナタリーは、彼が妻と話しをつけるために家へ帰っている間に、いろいろなことを考え抜き、彼の一家を壊すことはいけないと悟り、愛されたことを感謝し、サヨナラを告げる、そんな青春映画です。デュークの凄いところは、この役のために鼻を大きくし、少し出っ歯にしているんですが、最後に演技力だけで、魅力的な若い女性に変貌していることです。マンシーニのミュージックも快く、原題の誰でもない「私はナタリー」ということを見つけた、コメディで味付けをした気持ちのいい青春映画です。日本では、「スクリーン」の読者が選ぶベストテンの10位に選ばれています。デユークは、これでゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門の主演賞を取っています。
残念ながら最近亡くなったデュークは長い間躁鬱病で苦しんできたことを、早い時期にベストセラーになった自伝で公にした女優です。自伝によるとこの映画の撮影中に躁鬱病による自殺未遂を起こしており、映画の中で敬愛していたオジが亡くなり、葬式に行くことを拒絶し、雨が降り、窓越しにデュークがアンニュイな様でいる場面がありますが、未遂から回復して撮った最初のシーンだそうです。この映画は、アル・パチーノのデビュー作としても有名で、女漁りをするチンピラという役どころを、それらしい風貌でそれらしく演じています。
75点
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